第294章

川崎正弘はアクセルを床まで踏み抜いた。幸いここは一方通行で、約3km、ひたすら直進するしかない。

すぐに、天瀬姫奈の車が視界に入る。

この道は全部で3車線。交通量が多すぎて、正弘は追い抜けない。距離を保ったまま、後ろにつくしかなかった。

野呂栞が焦った声を上げる。

「もやし、行け! あいつの車、無理やり停めさせて!」

正弘は前方の車列を鋭く見据えたまま言い返す。

「太郎があの車にいる。詰めすぎたら危ねぇだろ。大丈夫だ、見失わない」

栞は前だけを睨み、白井小鳥へメッセージを打つ。天瀬姫奈の車のナンバーも添えて送信した。

天瀬姫奈の車は、どう見ても港方面へ向かっている。正弘はすぐ...

ログインして続きを読む